『薬屋のひとりごと』日向夏

裏サンデーで漫画が掲載されていて、少し読んでみて気になったため

小説家になろう〟で読みました。


猫猫(マオマオ)という薬屋の女の子が壬氏(ジンシ)という宦官に面白がられ、後宮・宮廷で起こる事件の謎を解かされるお話です。


ストーリーとしては謎解きもの?

作者の方が推理ものと掲げてしまうととても大変だったからと途中からファンタジーに変えられたようです。


物語の区切りが短く、米澤穂信の推理ものくらいの軽さで読めるため、さくさく読めます。

小さな事件を追いながらも全体の流れもまとまっていて、話が進むごとに主人公の詳細が明かされたり、

壬氏の過去が覗いたり、政治が動いたりします。


キャラクターの描写が鮮やかで、

猫猫と壬氏の関係がラブコメ的でおもしろいです。

取り巻くみんなの様子も楽しい。

誰もが骨抜きになるモテモテの権力者と、そんなものに全く興味が無いマッド薬学者のヒロイン…

そんなヒロインのせいで恋愛要素は少ないですが、たまに挟まれるこの二人らしいやりとりが微笑ましい。

優秀なひとに変態は多いと言いますからね。


謎解きとしては現代なら科学として扱われている知識がタネになっていたりして、

ああ〜アレねー、と楽しめます。

薬屋としての知識のほかに、生まれ育ちの関係で詳しくなった妓楼の世界の知識などを使って活躍する猫猫は

「お前ならなんとなくできそうだと思ったから」と、やっかいごとを持ち込まれるようになっていて、そうなるのも納得なキャラクターです。


こまかい時代背景とかは無視して読んでほしい、と書かれていたのでリアリティを無視して読める人ならとても楽しいと思います。

リアリティある後宮の話とか…ちょっと軽い気持ちで読めません…。


ちょっと文章が分かりにくいところがあり、誰がした行動?とよく理解できないところが点々とありましたが、気にせず読めるひとにはライトでキャラクターを愛でることができる楽しい小説です。


しょっちゅう粥を食べるシーンが出てきて、中華粥が食べたくなります。